「笑い」の力がもたらすもの 児童養護施設の子どもたちへ・・・吉本芸人によるお笑いワークショップ開催!

コンパスナビ活動ニュース

2018/01/19

2017年12月10日、お笑いコンビ「オオカミ少年」(よしもとクリエイティブエージェンシー所属)が児童養護施設を訪れた

人を笑わせるのは人の持つ高度なコミュニケーション能力のひとつである。コミュニケーションの名手になるきっかけを笑いのプロが伝授しにきた!

2017年12月10日、冬の冷たい空気が師走の街を包む季節。東京都調布市にある「社会福祉法人六踏園第二調布学園」を訪ねた。

「調布学園」は2歳から高校生までが生活している児童養護施設。その設立は大正14年に遡る。昭和23年児童福祉法による養護施設として発足した。当初は、戦災孤児、引き上げ孤児、浮浪児を収容する施設だった。現在は、親の行方不明や離婚、長期療養などで養護を必要とする子どもたちを受け入れているが、近年では親の「虐待」や経済的理由(親の貧困)が入所理由のトップとなっている。

児童養護施設の現状と子どもたち

 親からの虐待、貧困、親との死別など家庭環境の問題で入所してきた子どもたちには、人一倍ケアが必要な状態の子たちが多い。近年深刻なケースも多く、全国のどの施設でも手厚い養護を心がけながらも、慢性的な人手不足でケアが行き届かないこともあると聞く。
心が育つ重要な時期に十分な愛情を受けていない子どもも少なからずいる。そのため自己肯定感が低く、自分を表現する力が乏しい傾向にある。
原則として高校3年生(18歳)の年度末に独り立ちをしなければならないのだが、施設にくるまでに「学校の授業についていく学力を育めなかった子」や「学校や社会に順応できるだけの生活習慣や生活態度についての家庭教育(=しつけ)を受けられなかった子」「精神的に不安定で療養が必要な子」などには、とりわけ子ども一人ひとりに合わせた自立へのサポート体制を整えることが必要となる。行政や、諸団体の尽力で少しずつ仕組みが改善されていっているが、いっそうの加速を切望するところである。

人が育っていくためには、「自分が愛されている存在である、望まれた存在である」と思えること、「誰かと繋がることの素晴らしさ」を感じること、コミュニケーション力を養い、豊かな心や人間性を培うことが大切だ。また、社会との接点も、子どもたちが自らの将来を描くために必要なことだ。もちろんこれは一般家庭に育つ子どもたちにも言えることだが、施設にいる子どもたちの現状としては、その機会は決して多くない。

会が始まる前から最善列をちゃっかり陣取っているのは中高生男子!訳があった・・・

「笑い」のプロが魅せる

 こうした現状の中、吉本興業の「お笑い芸人」とのコラボ企画である「オオカミ少年のコミュニケーション講座」が実現した。事の始まりは、(一社)青少年自助自立支援機構(コンパスナビ)が、こうした子どもたちが今後社会に出て生きていくためには「コミュニケーション能力」がぜひとも必要と考え、「人を笑わせる」という高いコミュニケーション能力を持つプロの「お笑い芸人」に着目、吉本興行に相談したことだった。

6月にその第一回が開催され、成果を上げることができた。(2017年6月26日の講座、オオカミ少年 片岡さんがコミュニケーション講座をはじめた背景はこちらを参照願いたい)

今回は、その時に「また冬に来るね」と子どもたちにした約束を果たすために、「オオカミ少年」の片岡正徳さんと浜口裕幸さんのお二人、そして「ナイスヨッシャ」のギャグが売りのヨッシャ比留間さん、バルーンアートで楽しませてくれるウッチィさんが駆けつけてくれた。

会場に入ると、既に10人余りの子どもたちが前の方の席に集まっていた。心待ちにしていたのだ。

実はこれには伏線がある。6月の開催時、多くの子どもたちが、後ろの方にいて、背を向けていた子どももいたという。施設にいる子どもだけではなく、中高生にもなると大人が用意したものに素直に反応しないことはあることだが、特に、施設の子どもたちは辛い思いを経験しており、初めての大人たちに対して「この大人たちは何をしようとしているのか、信用していいのか」というところから始まるという。

 ヨッシャ比留間さん、きめポーズで語りかける!

 ウッチィさんのバルーンアート、何ができるんだろう?風船だろ、割れないか心配・・・

 バルーンアートをゲットしたよ♪

 似顔絵、子どもたちはヨッシャ比留間さんを描きはじめた

「笑い」の力・・・・・・プロの芸人のスキルが心を融かす

「笑い」には、人の心を開かせる力がある。心の中に楽しさや温かいものを与えてくれる力がある。

そんな「笑い」を伝えるスキルをもった芸人さんたちのアクションが、少しずつ子どもたちの心を解放させて、「心の垣根」を低くしていたのだろう。子どもたちの数は徐々に増え、今回も最初、後ろの方にいた子どもが、徐々に前の方に出ていき、最後にはみんなと一緒になって笑顔全開になっていく姿を見ることができた。

芸人さんたちも「施設の子どもたち」を対象としていることを考えて、手法を変えてきたという。単に面白いことをする、面白い話をする、という事ではなく、子どもたちの知っているキャラクターを使って心をつかみ、ゲームなどを通して子どもたちとふれ合いコミュニケーションを取りながら、楽しい場を作っていた。

そんな芸人さんたちの姿は、子どもたちの心にどのように映り、どのような動きをもたらしたのだろう。私には、芸人さんの「構えない」自然な笑顔と「笑い」を呼ぶ芸、スキルが、子どもたちの心に「楽しさ」を入り込ませていったように思える。「誰かと何かをすることの楽しさ」「誰かとコミュニケーションを取ることの楽しさ」を、難しい話や「教え」ではなく、体験の中から伝えていったのだと思う。

 

さらさら~、ヨッシャ比留間さんにそっくり!

「オオカミ少年」の浜口さんはプロの漫画家、絵を巧みに使って笑わせてくれるのだ

 え?「カオナシ」風、でも足が変。

 宮崎駿監督風の浜口さんが見せてくれるのは・・・・ト○ロ?

 上半身は「ガリガリ君」風?あれ~っ!

 こちらは浜口さんが描いた本物の宮崎駿監督!

二時間ほどの時間の中、子どもたちが、ずっと芸人さんに話しかけまとわりつくようにしている光景があった。この中には、「この大人たちをどこまで信用していいのか、どこまで関わってくれるのだろう」と確認をしている「試し行動」もあるかもしれない。

しかし一回目で「何かを感じ」、二回目でさらに「何かが心の中に生まれ始めた」こと。「笑い」のプロの持つスキル。ここに、子どもたちの心を救う、未来を切り開く力になるための何かがあることを、信じたい。

 

片岡さんの講評、小さい子も大きい子も、なんだか嬉しい

 一生懸命描いてくれました

 まさに「よっしゃあ!」

ジェスチャーでの伝言ゲーム「わかった人!」「はい、はい!!」もう大騒ぎだ

 ウッチィさんの手元を真剣に見ている、ウッチイさんモテモテだ

 この日はけっこう寒かった

片岡さんから子どもたちに、キラリと光る応援の言葉

「社会に出たら収入は必要。そして好きなことをして収入を得るのはとても難しいことなんだ。でも好きだから頑張れるってこともあるんだよ」「ディズニーランドにいると思っているんだ。それは、好きな場所にいると思って生きること、楽しく生きることだよ。辛いことは話そう、辛いことは少しも恥ずかしいことじゃないんだよ」

最後に、子どもたちの質問に答える時間があった。その中で、子どもたちから収入の話が出た。
「オオカミ少年」片岡さんからは「社会に出たら収入は必要。そして好きなことをして収入を得るのはとても難しいことなんだ。でも好きだから頑張れるってこともあるんだよ」
というお話があった。自らが経験し歩んできた道だからこその言葉は、きっと伝わっただろう。

また「ディズニーランドにいると思っているんだ。それは、好きな場所にいると思って生きること、楽しく生きることだよ。辛いことは話そう、辛いことは少しも恥ずかしいことじゃないんだよ」
と語りかける場面もあった。子どもたちへの応援の言葉だと感じた。

この日は、ずいぶんと冷え込んでおり、会場にはストーブが焚かれていた。小さい子はぬいぐるみやウッチィさんが作ってくれたバルーンアートを大切そうに抱えていた。大きい子は、小さい子の面倒をみながら参加していた、一つの家族のように。そして、そこにある「笑顔」が、その場の空気をより温かいものにしてくれていた。この日、子どもたちの中に芽生えたものが、これからの子どもたちの力になってくれることを、切に祈っている。

子どもたちとの屈託のないやりとりはかなり長く続いた。オオカミ少年 片岡さん・浜口さん、ヨッシャ比留間さん、ウッチイさん、お疲れ様でした!

●「児童養護施設に芸人さんを呼んでコミュニケーション講座をやってみたい」施設長さん、職員さん、コンパスナビにご相談を

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