お金のことで進学を諦めないで 新美昌也さん(ファイナンシャルプランナー、教育資金アドバイザー)

インタビュー/特別寄稿

2017/10/31

ファイナンシャル・プランナー、教育資金アドバイザーの新美昌也さんに聞く。好きな言葉は「倜儻不羈(てきとうふき)」

ご自身が母子家庭から自力進学した経験を活かし、のべ800校以上の高校、5万人以上の保護者や生徒に【進学マネー講演会】を開催し、学費のために進学を断念しないための方法を伝えている。
「失業しましたがお金を借りることができますか」「生活保護を受けていてもだいじょうぶですか」「貯蓄がないのですが進学はできますか」さまざまな相談がやってくる・・・・

ーーどのようなお仕事をされているのでしょうか?

ファイナンシャル・プランナーとして、主に、教育資金、住宅資金、老後資金の個別相談や記事の執筆をしています。教育費に関しては、首都圏の高校の保護者や生徒を対象に、進学を後押しする教育費支援策(奨学金など)の情報提供を講演を通じて行っています。

ーーファイナンシャル・プランナーのお仕事をするまでの経緯をお聞かせください

前職では、商社系の保険代理店で経営者を対象に保険の活用方法の提案をしていました。その営業活動の中で、保険以外のお金の知識の必要性を感じ、ファイナンシャル・プランナーの資格を取りました。その後、経営者から、相続や節税、資産運用など幅広い相談をうけるようになり、保険以外の知識も活かした仕事をしたいと思い、18年の会社員生活を卒業し、2004年にファイナンシャル・プランナーとして独立しました。

ーー母子家庭で、大変にご苦労をされて学業を全うされたとお聞きしています

高校2年に進級した時に、家業の倒産が原因で、両親が離婚しました。借金が多かったので、母親と東京にきました(いわゆる夜逃げです)。高校も中退し、工場で働くことになりました。高校が進学校であったこともあり、大学進学の夢が諦められず、1年後、都立高校に編入しました。生活費と学費を自分で工面しなければならないので、新聞店で住む込みで働きながら高校に通いました。学業と仕事の両立は思いのほかハードで、大学受験は全く歯が立ちませんでした。それでも、大学の進学は諦められず、貯金もたまり、勉強に専念できる環境にあったので猛勉強し、翌年、受験校すべてに合格できました。

思い返すと、困難にぶちあたったときに、逃げずに正面から受け止め、人や社会のせいにすることもなく、他人と比較することもなく、できることを一歩一歩、前向きに取り組んだのが良かったと思います。

ーーこのお仕事をしていてうれしかったこと、印象的なエピソードがあればお聞かせください

自分の仕事が人の役に立っていると感じたとき、この仕事をしていてよかったと思います。

たとえば、教育費の講演では、母子家庭の保護者から「さまざまな教育費の支援策があることを知り、希望が持てました。」という感想をよくいただきます。一方、経済的に厳しいご家庭の生徒からの「大学に進学したいけれど、親が反対しています。どうしたらいいですか。」という質問には有益なアドバイスができず落ち込むこともあります。

ーー今後の展望をお聞かせください

高校での講演会はライフワークとして行っています。経済的に厳しい家庭の子どもでも、今は、進学を後押しするさまざまな教育費支援策があるので、お金のことで進学を諦める必要はないということを、これからも発信していきたいと思います。

プロフィール:T&Rコンサルティング有限会社 代表取締役。

ファイナンシャルフィールドサイトでは教育資金プランのアドバイス、奨学金情報(給付型・貸与型)など有用な情報をタイムリーに発信している。