ワーカーズコープ・センター事業団② 2005年、自立・就労に困難を抱える若者支援の事業を開始
インタビュー/特別寄稿
2017/06/13
若者支援の事業の始まりは、千葉県芝山町での「若者自立塾」からだった
コンパスナビでは、生きづらさを抱えている若者への支援をしている方や、団体の紹介活動を行い、コンパスナビサイトにて紹介をしている。
ワーカーズコープ・センター事業団の事業は全国屈指の規模であることから、若者・生活困窮者の支援をしている中で(特に、若者支援で)どのようなご苦労や工夫や喜びがあったかをぜひともお聞かせいただきたいと取材を申し込むと快く応じてくださった。
東京統括本部本部長 馬場幹夫さんと、事業推進本部の扶蘓(ふそう)文重さんから多岐にわたりお話をお聞かせいただいた。
ワーカーズコープは、生活困窮者自立支援制度を焦点に、「当事者主体」「市民の制度参加」「地域づくり」「仕事おこし」の立場に立ち、困窮者支援の運動事業に全面的に取り組んでいる。
若者支援の事業の始まりは、千葉県芝山町での「若者自立塾」から
2005年の千葉県芝山町での「若者自立塾」(若者職業的自立支援推進事業)の運営が始まり、自立・就労に困難を抱える若者支援の事業を開始した。
現在、「若者・困窮者支援事業」はワーカーズコープ・センター事業団の第5位の事業規模となっている。
ワーカーズコープ・センター事業団は、自立・就労に困難を抱える若者支援を一番初めに手がけたのが2005年の千葉県芝山町での「若者自立塾」(若者職業的自立自立支援推進事業)の運営である。
馬場本部長、扶蘓(ふそう)さんにお話をお聞きし、かつ資料を読む中で、協同労働が拓いて来た自立支援という視点で、ワーカーズコープ・センター事業団の事業を捉えるのが正しい理解の仕方であるとわかった。
端的に言うと、生い立ちの貧困さや、障がいによって、「働きにくさ」「生きづらさ」を抱えて世の中に漕ぎ出そうとする若者に、自ら仕事を創りだすことで、自立に向わせる支援をしているということなのだ。
ワーカーズコープ・センター事業団は、日本各地で地域若者サポートステーション(愛称:「サポステ」)事業を22ヶ所、厚生労働省から委託されている。(2017年全国に160ヶ所ある)
地域若者サポートステーション(愛称:「サポステ」)では、働くことに悩みを抱えている15歳~39歳までの若者に対し、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への就労体験などにより、就労に向けた支援を行っています。
サポステは、厚生労働省が委託した全国の若者支援の実績やノウハウがあるNPO法人、株式会社などが実施しています。
※ 全国のサポステに関する情報はサポステネットへ
サポステでは「働きたいけど、どうしたらよいのかわからない・・・」、「働きたいけど、自信が持てず一歩を踏み出せない・・・」、「働きたいけど、コミュニケーションが苦手で・・・不安」、「働きたいけど、人間関係のつまずきで退職後、ブランクが長くなってしまった・・・」など、働くことに悩みを抱えている15歳~39歳までの若者に対し、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への就労体験などにより、就労に向けた支援を行っている。
扶蘓さんは次のように語った
「1970年代、失業者と中高年の仕事づくりから出発したのがセンター事業団の組織の成り立ちでした。思い返せば約30年前を振り返ると、物流や、清掃現場にやっぱり貧困というふうな背景がある人や、いわゆる障がいがある人、若者など、そういう人たちが一緒に働いてきたという歴史はあります。
若者にスポットを当てて制度事業として始めたのは、若者の自立支援とか、自立塾だとか、地域若者サポートステーションだとかこの10年ぐらいの間なんです。
特に地域若者サポートステーション事業をしていると、働きたいけど働けないというような若者たちが相談に来られます。しかしやっぱり私たちは引きこもり支援とか、そういうメンタルのサポートというよりも、若者支援の仕組みというのを地域でトータルにつくっていかなければいけないというのを考えたときに、やっぱり地域で働けるような企業だとか若者が活動できる居場所だとかネットワークだとか、そういったものをつくっていくというところに協同労働の役割があるんじゃないのかというふうに思っているんです。
なので、「相談支援」という意味で地域若者サポートステーション事業を受託をして運営をするんですけれども、その周りに私たちはいろいろな清掃の現場とか物流だとか、介護の仕事だとかいろいろな事業をしているんです。
そこでやっぱりいろいろな多様な存在、多様な価値観を持っていたり、多様な存在である若者を受け入れて一緒に働くということをどの現場でも一緒にやっていこうということをしているんです。私たちの事業所は全国で350ぐらいなのでそれだけでは全然少ないので、やっぱり中小企業を働く場として協力してもらっています。今人材難なので幾ら求人を出しても誰も応募してこない。特に清掃、ビルメン業界とかなんて本当にどれだけ求人を出しても人が来ないというのは、どこのビルメン会社も共通している悩みなんです。そういう企業に対して多様性を尊重するとか若者の特性を理解するとか、そういう若者を受け入れることで逆に職場が働きやすくなるんだということだとか、そういったことを伝えていくとか、そういう企業からネットワークをつくっていくとか、そういうふうなところが私たちが今若者支援という意味でやっているところかなというふうに思います」。
「1970年代、失業者と中高年の仕事づくりから出発したのがセンター事業団の組織の成り立ちでした。思い返せば約30年前を振り返ると、物流や、清掃現場にやっぱり貧困というふうな背景がある人や、いわゆる障がいがある人、若者など、そういう人たちが一緒に働いてきたという歴史はあります。
若者にスポットを当てて制度事業として始めたのは、若者の自立支援とか、自立塾だとか、地域若者サポートステーションだとかこの10年ぐらいの間なんです。
特に地域若者サポートステーション事業をしていると、働きたいけど働けないというような若者たちが相談に来られます。しかしやっぱり私たちは引きこもり支援とか、そういうメンタルのサポートというよりも、若者支援の仕組みというのを地域でトータルにつくっていかなければいけないというのを考えたときに、やっぱり地域で働けるような企業だとか若者が活動できる居場所だとかネットワークだとか、そういったものをつくっていくというところに協同労働の役割があるんじゃないのかというふうに思っているんです。
なので、「相談支援」という意味で地域若者サポートステーション事業を受託をして運営をするんですけれども、その周りに私たちはいろいろな清掃の現場とか物流だとか、介護の仕事だとかいろいろな事業をしているんです。
そこでやっぱりいろいろな多様な存在、多様な価値観を持っていたり、多様な存在である若者を受け入れて一緒に働くということをどの現場でも一緒にやっていこうということをしているんです。私たちの事業所は全国で350ぐらいなのでそれだけでは全然少ないので、やっぱり中小企業を働く場として協力してもらっています。今人材難なので幾ら求人を出しても誰も応募してこない。特に清掃、ビルメン業界とかなんて本当にどれだけ求人を出しても人が来ないというのは、どこのビルメン会社も共通している悩みなんです。そういう企業に対して多様性を尊重するとか若者の特性を理解するとか、そういう若者を受け入れることで逆に職場が働きやすくなるんだということだとか、そういったことを伝えていくとか、そういう企業からネットワークをつくっていくとか、そういうふうなところが私たちが今若者支援という意味でやっているところかなというふうに思います」。
コンパスナビは、サポステ現場のことを考えてみた
小学校、中学校時のいじめや不登校から引きこもり、ニートの状態が長期化している若者が、就労への意欲と不安と課題を抱えてサポステに相談に来る。自分から来れる人もいるだろう、親に言われてしぶしぶ来た人もいるだろう。就職先で思うように行かず退職後引きこもってしまった人もいるだろう。昼夜逆転した生活を立て直そうと今日は勇気を出して来た。寄り添って一緒に考えてくれる職員がいるから信頼して通ってくる。目の前のこの若者が就労したいのに、妨げるものが何なのか。
家族関係や、障がいや、技能資格取得、高卒資格、さまざまなことにも目配りし、助言して、伴走してくれればサポステはそれこそ安心できる存在になる。
昨今、入札で委託業者が決定されるわけだが、人に関わる事業だからこそ、落札価格の低さが質的な低下に繋がらねばいいのだがと危惧する。数値化できない部分への業者の誇りを大事にした、真にサポートを必要とする人に届く厚労省委託の若者サポートステーション事業であってほしいと切に願う。
次回③ではサポステ利用者だった人たちが地域が必要としている仕事を立ち上げた、などの3例を紹介しよう。
①では生活困窮者自立支援制度を焦点として事業を紹介した。