NPO法人「ピアサポートネットしぶや」ご紹介

インタビュー/特別寄稿

2017/07/14

若者が持っている力を信じて一緒に寄り添う

「NPO法人ピアサポートネットしぶや」は、困難な状態にある子ども・若者に指導や助言をする上下の関係ではなく、一緒に将来を考え、励ましあい、楽しさや辛さを共有できる存在(ピア)として、ひとり一人の不安や悩みに寄り添い、また行政や関係期間と連携しながら自分なりのしあわせを社会の中で見つけていけるような手助け(サポート)をしている。
①自立応援プログラム ②相談 ③訪問 ④居場所&フリースペース(フリーティス) ⑤学習 ⑥社会参加 ⑦家族支援 ⑧被災地支援プログラム(大槌交流プロジェクト) ⑨夜の居場所(夕食つき・学習支援)と多岐にわたる重層的な事業を展開している。
中でも⑨夜の居場所(夕食つき・学習支援)の事業は、子ども・若者の居場所づくりや虐待防止に取り組む渋谷のネットワーク「渋谷ピアネット」では、勉強や友だちづくりをもっとしてみたい若い世代を応援したいと、区内の6ヶ所でそれぞれ月1回、食事と学習ができる場として夜の居場所「ずっとも食堂」活動だ。(ずっとも=ずっと友だちの略)
これは、内閣府の「子供の未来応援国民運動」の一環である「平成28年度未来応援ネットワーク」の事業として採択されている活動である。

1999年(平成11年)に創設した中高生の居場所「渋谷ファンイン」の活動として、居場所づくりや訪問の取り組みを行ってきた。若者をめぐる問題が深刻化するなかで地域や行政とのネットワークをつくりながら、法人化した形、それが「NPO法人ピアサポートネットしぶや」である。

日々のこと 将来のこと 一緒に考え 一緒に進もう。

JR恵比寿駅から5分ほど歩けば比較的静かな住宅街の一角に事務所があった。

理事長の相川良子さん、統括リーダーの石川隆博さんである。引きこもり、フリーター、ニートなど生きづらさを抱えた若者に寄り添い、再び社会に繋げる活動を進めるリーダーたちは柔らかな笑顔で出迎えてくださった。
相川理事長は渋谷区の中学校の校長経験者であり、家庭・学校・地域社会の連携の大切さを知り尽くしていらっしゃる。

①自立応援プログラム ②相談 ③訪問 ④居場所&フリースペース(フリーティス) ⑤学習 ⑥社会参加 ⑦家族支援 ⑧被災地支援プログラム(大槌交流プロジェクト) ⑨夜の居場所(夕食つき・学習支援)と多岐にわたる重層的な事業を展開している。

その中で、⑨夜の居場所(夕食つき・学習支援)の事業は、子ども・若者の居場所づくりや虐待防止に取り組む渋谷のネットワーク「渋谷ピアネット」では、勉強や友だちづくりをもっとしてみたい若い世代を応援したいと、区内の6ヶ所でそれぞれ月1回、食事と学習ができる場として夜の居場所「ずっとも食堂」活動だ。(ずっとも=ずっと友だちの略)
ポスターを見ていただくとお分かりのように、6ヶ所の活動日は皆違っている。

これは、内閣府の「子供の未来応援国民運動」の一環である「平成28年度未来応援ネットワーク」の事業として採択されている活動である。

では、「ずっとも食堂」の活動がどういう経緯、背景で生まれてきたのか、
それは1999年(平成11年)に創設した中高生の居場所「渋谷ファンイン」の活動が土台、淵源になっているので、順を追って紹介していきたい。

渋谷ファンインピアサポート委員会 子どもがふらりと立ち寄れる居場所で サポーターが見守る温かなまなざし

都立広尾高校での授業サポートを行うなど、活動は多彩

「渋谷ファンインサポート委員会」は、子どもがのんびり、ゆったりおしゃべりができる「子どもの居場所づくり」に取り組んで18年。東京都渋谷区内の7つの団体が、区内11カ所の地域施設のスペースで、地域の大人やサポーターが支え手となり、「たまり場活動」「体験活動」「クラブ活動」に取り組んでいます。

「渋谷子どもの居場所づくり実行委員会(渋谷ファンイン)の設立趣意書(平成13年4月1日)」に沿革が記されているので梗概を記す。
***
青少年をめぐる虐待など痛ましい事件起こるたびに、地域に住む大人たちがもっと子ども達の声を耳を傾け、そうした場所をつくることはできないかと話題になっていました。一方では、いよいよ公立学校を中心に学校週5日制が始まり土曜日が休日となります。子ども達にはこの休日を、自分自身を豊かにするために使ってほしいという強い思いもありました。
居場所づくりは、平成10年度上原社会教育館の主催講座「中高生倶楽部」がきっかけで始まり、翌平成11年、地域の有志が集まって「上原ファンイン」の誕生、そして平成12年には7地区が独自性をもちらがら互いにリンクして、渋谷ファイングループとしての活動に広がりをもっていきました。
①たまり場活動 ②サークル活動(クラブ活動) ③体験活動(イベント)
これら3つの活動には不登校・障がいを持つ子ども達も参加できるようにサポーターとして小児科医、心理を学ぶ学生をピアサポーターとして置き、学校や関係機関を連携しながら進めています。 (渋谷子どもの居場所づくり実行委員会【渋谷ファンイン】 代表 鈴木 仁)

成長著しい思春期の子ども達の「居場所」

相川理事長はこう語る。

中学高校生は、家庭、学校、社会での体験を通して、失敗を重ねながら成長していくものですが、いまは、勉強ができる、できないで、人間を決めてしまう傾向にあります。体験が不足している中高生は、ちょっとしたつまずきで学校に行きずらくなり不登校になったり、それを修復する機会がないまま、居場所も失いがちです。
そこで、1999年に、だれでも気軽に立ち寄れる居場所を児童館につくり、活動を始めたのです。

ある教育評論家がこのように言っていました。

『おたまじゃくしはカエルの子であるけれど、おたまじゃくしはエラ呼吸で、成長してカエルになると肺呼吸になる。エラが肺に変わることは、全くの別の生き物になるということ。人間の子どもが大人になるのは、このくらいの違いがある』

子どもが成長するこの時期は、不登校になったり、反抗期があったりしても、どこかに自分の居場所をさがしています。そこで「たまり場」を作ったのです。ただ、ぶらっと気が向いたときに立ち寄れる場所です。しゃべっても、しゃべらなくてもいい。気軽に立ち寄れる場所です。女子の場合は、居場所がなくなると、風俗に走ってしまうこともあり、どうしても居場所の存在を知らせたかった。これは徐々に広まりました。

平成12年度になって、この活動は渋谷区の7地区に広がり、各地区とも文部省の委嘱を受け、各グループは地区の特長を生かした独自の活動を「渋谷ファンイングループ」として活動をはじめたのです。ちなみに「ファンイン」というのは、中国語で「歓迎」という意味です」

子どもと一緒に考え行動するピアサポーター

「渋谷ファインイン」活動の主な内容は3つあります。
①たまり場活動
子どもたちが気軽に立寄り、いろいろな年齢の人とふれあいができる場所で、ユースパートナーと一緒に活動します。
②サークル活動
子どもたちに希望の多いバンド、スポーツ、ダンス、手芸等の活動をサポーター(指導者)が指導します。
③体験活動
いわゆるイベントで、自然やひととのふれあいを中心とした様々なたいけんを企画実施。地域の活動もの組織として参加します。
「渋谷ファンイン」ではさまざま年代層のひととのふれあいがあります。 そして、学生から高年齢までの「ピアサポーター」が活動しています。

「ピアサポーター」の「ピア」とは、対等・仲間という意味で、仲間として援助しようとするもの。ですから、ピアサポーターは子どもたちに指導や助言といった上下の関係で接するのではなく、子どもの意思を尊重し、子どものもっている力を信じ、子どもと一緒に行動しています。

不登校や障害を持つ子どもも参加できるように、サポーターとして小児科医、心理学を学ぶ学生をピアサポーターとしておいていて、学校や関係機関と連携をとりながらすすめています。また、不安を抱える親たちのサポートもしています。

どこかに自分の居場所があるはず

この活動をして18年、子どもを取り巻く環境は変化しているので、7カ所の渋谷ファンインでは、子どもたちの興味のあることをたくさん用意しています。
もちろん、なにもしなくてもいくだけでもいいのです。
気軽に渋谷ファンインに行ってだれか、顔見知りの人ができると、困ったときにポロッと相談ができるかもしれません。ただ食事を一緒にする会などもあります。他人と話をすることで、自分の悩みの解決につながることもあります。

私たちスタッフも、基本はただ見守るだけを心がけています。決して過剰に介入しないようにしています。

成長著しい思春期の子どもたちは、ちょっとしたサポートで自分で成長する力をもっています。

「渋谷ファンイン」の活動の一端は次のような内容だ

「かまどで遊ぼう」「冒険遊び3days」(せせらぎファンイン)

「演劇部」(上原ファンイン)

「お化け屋敷」(代官山ファンイン)

「ダンスクラブ」「パソコンクラグ」(代々木ファンイン)

「大学生と一緒に体育館でスポーツとおしゃべり」(原宿ファンイン)

「バスケ、卓球、「バレー」(広尾ファンイン)

「パソコンなどITを活用しながら創作活動」(恵比寿ファンイン)

渋谷ファンインの問い合わせ先

渋谷ファンイン ピアサポート委員会
事務局:渋谷区立上原社会教育館内
〒151-0064 渋谷区上原3-13-8
  TEL&FAX 03-5465-2040

「ずっとも食堂」活動の開設につながっていったのはなぜ?

内閣府の「子供の未来応援国民運動」の一環である「平成28年度未来応援ネットワーク」の事業として採択されている「孤立しがちな子どもへの食事付き夜の居場所と学習支援を行う事業」=「ずっとも食堂」は、渋谷子どもの居場所づくり実行委員会(渋谷ファンイン)のネットワークの土台があって活動しています。

「上原ファンイン」「グループ青空」「夕暮れ隊」「ささはたっこ」「せせらぎファンイン木曜食堂」「せせらぎファンイン ガイラコミュ」にて開催しています。

渋谷区では核家族や共働きが多く、またひとり親の家庭、外国にルーツを持つ家庭など、「保護者の孤立、子どもの孤立」が際立ってきました。子どもだけの食事、孤食、宿題を見てくれる大人の不在等々。子どもの足でいくことのできる夜の居場所の必要性から活動を開始したものです。さらに拡充をしていこうと考えています。

渋谷地域の長い年月の移り変わりを見てきた大人たちの思いが集まって「渋谷ファンイン(渋谷子どもの居場所づくり実行委員会)」という幹となり、生きづらさを抱える若者に寄り添い伴走するさまざまな事業を行う「NPO法人ピアサポートネットしぶや」という太い枝を広げている様子に触れた取材であった。

※次回は、この「ずっとも食堂」のひとつを運営する「グループ青空」の活動、および「児童養護施設若草寮を支える会」総会での「NPO法人ピアサポートネットしぶや」相川理事長の記念講演からの報告をしたい。
「支えあって・これからも」、若者の自立についての講演内容である。
(「若草寮を支える会」総会 2017年6月24日 開催)

NPO法人ピアサポートネットしぶや

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