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インタビュー/特別寄稿

インタビュー/特別寄稿

自立援助ホームを知っていますか? ①

「ただいま」と「おかえり」のある生活

埼玉県には7つの自立援助ホームがある。
ここで紹介する「樹の下ホーム」には女子4人、男子2人が暮らしている。
元来、児童養護施設を18歳で退所した児童のアフターケアのために発したものであるが、近年は家庭から直接入所するケースが増えている。
ここにも高校3年生の男子がいた。親からの暴力から逃れてホームで暮らしていた。彼は友だちが呼べる部屋がほしかったと言い、ホームで暮らすようになって友人を呼べたそうだ。
他愛のない話をしてお菓子を食べていたのだろう。部屋には空き袋が転がっていた。
同年代の子どもたちが経験できる子ども時代が損なわれてきたけれども、このホームで力をつけて強く生きていってほしい。
そしてカナエール(※1)に挑戦し奨学金を得、猛勉強して大学に進学できた。この春休みにはたくさんのお土産話を抱えて泊まりにきたのだとホーム長から聞いた。

まず、自立援助ホームについて紹介していく。

子ども達の苦しさに寄り添い(共感)、受け止め(理解)、見守り(受容)、共に歩み(共存)ながら、自分の未来を切り開いて行けることを願い支援していく



 児童福祉法第6条の3、同法第33条の6において、児童自立生活援助事業として 第二種社会福祉事業に位置づけられ、義務教育終了後、他の社会的養護(児童養護施設、 里親、児童自立支援施設など)の措置を解除された青少年及び都道府県知事が認めた 青少年に自立のための援助及び生活指導を行います。



原則として15歳~20歳までの 青少年たちが暮らすところです。




 自立援助ホームに入所している青少年たち






虐待や貧困、非行などの問題で家庭に居場所がなくなった青少年たちが入居してきます。自立援助ホーム設立当初は、児 童養護施設の退所者の支援が主だったのですが、近年では図1のように家庭から直接入居する青少年の割合の方が高くなっ ています。家庭に問題がありながらも思春期年齢になるまで問題の発見が遅れ、公的な支援の介入が遅れてしまうケースも あります。支援が遅れたことでより自立が困難になってし まうことは言うまでもありません。

また、入居の理由は、親による放任・虐待が一番高い割 合となっています。加えて、他の理由も家庭の問題に起因 することが多いことも図2よりわかります。家庭の問題か ら、学習環境が保障されてこなかったことも特徴の一つで す。このことは、自立援助ホームにくる青少年たちが、 ホームに来るまでいかに過酷な生活を送ってきたのかを物 語っています。





自立援助ホームの成り立ち実施主体





 自立援助ホームの成り立ちは、第二次世界大戦後の昭和30年代に遡ることができます。戦災孤児の中学卒業後の自立支援 対策として神奈川県が「霞台青年寮」を設立したのが始まりです。その後、養護施設出身者のアフターケアを目的に、新宿 寮(青少年福祉センター)が青少年アフターケアセンターとして設立されました。義務教育終了後に支援の薄い青少年たち に社会的な支援が必要と感じた関係者の善意の活動により、少しずつホームを増やしていきました。昭和49年に東京都で養 護施設等の退所者支援としてアフターケア事業と認め、アフターケア補助金の交付が始まり、昭和59年の東京都自立援助 ホーム制度実施要綱の中に「自立援助ホーム」と命名されました。平成10年に児童福祉法第二種社会福祉事業として位置づ けられ、平成21年には、対象年齢が20歳まで引き上げられるとともに、児童保護措置費制度に組み込まれ、より公的な支 援をうけるようになりました。  事業の実施主体は都道府県・政令指定都市となり、経営主体は、社会福祉法人やNPO法人等となっています。


 自立援助ホームが大切にしている3つのこと




❶ あたり前の生活  自立援助ホームは、虐待、貧困など大変厳しく過酷な養育環境をくぐ り抜けてきている青少年たちに、安心・安全な生活環境を保障します。 スタッフと生活を共にしながら、食・住に始まり、「ごめん」「ありがと う」「お願い」というあたり前の言葉がけを大切にします。また、彼ら ひとり一人の話に丁寧に耳を傾け、自分の存在が受け止められている ことを実感できるように配慮し、自分を大切に思うことのきっかけを 作っています。

❷ 主体性の保障  大変厳しく過酷な生活を送ってきた青少年たちは、自分で選び、自分で決めるという自立の出発点となる経験を保障され ず、また失敗経験から学ぶという基本的な権利も保障されてきませんでした。入居時にまず、入居の意思を確認し、ホーム と入居の契約を交わします。このことは、不安や葛藤を抱えて入居してくる青少年がほとんどとはいえ、自分で選び、考え ることの第一歩となります。その後もいろいろな場面で失敗することもありますが、「あたり前の生活」の中から、存在を 受け止めてもらっているという感覚をエネルギーにし、自分で考えて行動し、その結果を受け入れるという経験を積み重ね ていきます。

❸ 退居者支援  青少年たちは、「あたり前の生活」や「主体性の保障」の中で自分の存在を大切に思ったり、失敗経験から自分で考え、 結果を受け入れる経験を重ねるとホームから離れて生活するという次のステップに進みます。その際も「彼らから関係を断 ち切らない限り、ホームからは絶対に関係を断ち切らない」というメッセージを発信します。このことは、社会的な支援の 希薄な彼らに、「困ったときはいつでも相談に来て良い」ということ=彼らの「心の安全基地」となる覚悟と「適度に人に 頼る」ことが社会生活には不可欠であると自立援助ホームが考えていることを意味しています。また、転職、恋愛、結婚、 子育てなどのライフイベントごとの「新しい課題」の相談にのり、一人一人が抱える「人生の課題」に関しても長期間関わ ることによって、「時間の経過が解決してくれること」を本人と一緒に分かち合うことができます。


樹の下ホームの開設は平成25年2月


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樹の下ホームHPより

平成25年の2月にNPO法人「結」が設立して、同年6月に自立援助ホームを開設する事ができました。設立までには本当に多くの皆様のご支援と埼玉県をはじめとする行政の皆様のご指導のお陰でした。心より感謝を申し上げます。

私たちは、虐待を受けたり養育を放棄された子どもの、生と生き方と向き合い、同時にその子個人に負わされてしまった社会問題を共に背負う事でもあると考えます。

まだ働く準備さえも出来ていないまま入所せざる得なくなった子どもが、自分で働きながら寮費を毎月35,000円納めて、さらには自立の為に貯金もしなければなりません。入所してくる子ども達は虐待などにより心身共に深く傷ついています。しかし中には入所してからわずか1年や半年で退所をしなければならない過酷な状況の子も少なくないのです。限られた時間の中で子ども達への安心・安全の保障、社会的”自立”が社会的”孤立”にならないように、退所してからの支援も不可欠なのです。

私たちは子ども達の苦しさに寄り添い(共感)、受け止め(理解)、見守り(受容)、共に歩み(共存)ながら、自分の未来を切り開いて行けることを願い支援していきます。

※1カナエール 「カナエール」は児童養護施設を退所した後、専門学校や大学等へ進学する子どもたちを支援する奨学金支援プログラムです。

■次回は、米倉ホーム長、職員さんたちが、さまざまなケースに寄り添い伴走するエピソードをお伝えしたい。

NPO法人「結」 自立援助ホーム「樹の下ホーム」(米倉ホーム長)


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