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インタビュー/特別寄稿

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聖学院大学ボランティア活動支援センター物語④
生きる力と学ぶ力を獲得している生徒たちの感動エピソード

女子聖学院中学校高等学校 元校長
聖学院大学ボランティア活動支援センター 所長
人間福祉学部 教授
     阿部洋治先生

女子聖学院中学校高等学校は今年創立111周年を迎え「女子教育」「キリスト教」を教育の2本柱にする中高一貫校。牧師である阿部洋治先生は、新任の校長として赴任したときの感動したエピソードが忘れられない。

 

聖学院大学ボランティア活動支援センターの活動について、阿部洋治所長からお聞きしながら①、②、③とレポートしてきた。若者を育てる哲学を実践の場でご教示されていることがよく伺えた。
若者の内発性に話が及ぶと、女子聖学院中学校・高等学校校長時代のエピソードをお話しくださったので紹介する。


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大人ときちんと対話できる生徒たち


私は長いこと大学生に教えていたので、同じ法人の女子聖学院中学校高等学校が実際にはどんな教育をしているかについて十分に認識のないまま副校長として赴任しました。1年後、校長に就任してから、生徒の特長が際立って見えてきたのです。

大学生でもそうですが、大人と話すのが苦手だったり、対話ができない子が多いと常々感じていました。それで、一番印象に残っているのは、校長に就任した年の春、「私はまだ新米で、学校のことがわかりませんので、皆さんが校長室に遊びにきて私を教育してほしい」とあいさつをしました。すると、早速、高校2年生が数人校長室に遊びにきてくれました。そのときに、内容は覚えていませんが、一つのことを彼女たちにきいてみたのです。ふつう若者たちは「なにをききたいわけ?」というふうな態度で、ポツリとひとこと言葉を返して終わりということが多いのに、彼女たちは問いかけの意味をつかんでて、きちんと答えてくれるだけではなく、さらに問いを深めて行くと、豊かな対話になって行ったのです。これにまず、驚きました。

 仲間への思いやりの心


エピソードつながりで語らせてもらえば、ストレートである国立の医学部に合格した生徒が進路部長に報告にきたときのことです。その先生が、思わず大声で「すごい!」といったのです。すると、その子は「シー」と口に指を当てて、「まだみんな受験中なので、仲間にはいわないで。これから私は仲間たちの受験勉強の支援に回りたいから」というのです。友だちを思いやるその心配りに感動しました。

これには後日談があって、卒業した後、この生徒から手紙が届いたのです。当時、女子聖学院では小さな改革を試みていたときで、この改革の行方に不安を感じていたのでしょう。「女子聖を進学一辺倒の学校にしないでください」と書かれていました。6年間過ごした雰囲気のいい学院がギスギスした雰囲気になってほしくないという願いです。彼女は勉強をしましたが、様々な学校行事に熱心に関わりながらブラスバンド部で6年間活動したり、友だちとすごす楽しい学校生活をなくしてほしくないというのです。うれしい便りでした。彼女は楽しく思い出がいっぱいつまっている学院生活の大切さを体得したのです。

 各自が自分の音を持っている


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部活動は活発ですが、チアリーディング部、ディベート部は全国レベルで活動しています。そしてブラスバンド部も最近は都大会などでハイレベルな結果を得るようになっています。これもひいき目といわれてしまうかもしれませんが、演奏する音の質が他の学校の音と違うのです。他の学校はたしかに上手なのですが、音の艶がありません。優勝校などは演奏は上手です。でもおもしろくない。リズムを合わせ、それぞれの音を一つに合わせて美しいハーモニーを作ってはいるのです。でも何かが足りないのです。女子聖の場合、日頃の生活を通して心を響かせ合う関係ができていますから一致を作ろうとする演奏ではなく、すでにある一致の基盤の上で互いに対話するように自分の音を出しているのです。

さらに、吹奏楽部の演奏会に行っておどろくのは、演奏会が終わってからの片付けです。さーと波が引くごとく、みんなが自分のすることをムダなく動き、数分後にはきれいになっているのです。ぼーとしているひとはひとりもいない。立ち居振る舞いがきちんとしているのですね。こうした姿は、ブラスバンド部に限ったことではありません。

 自分の言葉で体験を語る力


もうひとつ体験談をお話しさせてください。学校説明会等々でお手伝いをしてくれる生徒たちの姿です。目をきょろきょろさせているわけではなく、微笑みを浮かべながら、それとなくお客さんの動きをキャッチしていて、素早くお客さんの必要に対応してくれるのです。この姿は本当に素晴らしいです。

ある時、お母さんたち10人くらいに生徒が1人で説明をしました。大学はついてはいますが、あくまで生徒が主体です。

あるグループのお母さんが開口一番、「私は多神教の家庭で育ちましたが、学校はミッションスクールに通いました。そこでは、生活指導がきびしく、私は辛い思いをしました。ここではいかがでしょうか」という質問をしました。一瞬会場がシンとなりました。このときに、担当の生徒は言いました。「私はむずかしいことは勉強をしていないので答えられませんが、私自身の体験でお答えさせていただきます。私もクリスチャンではありませんが、礼拝がある学校に通って良かったと思っています。私も苦しいことや、悩んだこともありましたが、礼拝で教えられた聖書の言葉に救われました。聖書の言葉がなかったら、今の私はなかったと思ってます」

このように、女子聖では、生徒たちが、語るに足る言葉を語れる女性に育っているのです。こうした人間教育の現実をもっともっと理解される時代になってほしいと、私は心から願っております。

学校法人聖学院
女子聖学院中学校・高等学校

聖学院大学ボランティア活動支援センター物語①
聖学院大学ボランティア活動支援センター物語②
聖学院大学ボランティア活動支援センター物語③

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